「あぁ、それか。
俺も向かおうとしてたんだよ」
「え!?なら早く行きましょうよ!
放送聞いてました?!」
急かすように若松先輩の腕を掴んで立ち上がらせる。
「うるさいやつだ、聞いてたよ。けど出られないんだから走ってもしょうがないだろ」
「えっ」
私は「出られない」というワードに固まった。
「せ、先輩もですか?!私もなんです!走っても走っても2年生のエリアから出られなくて…」
「なんだお前もかよ。泣きべそかいてるピエロがヘロヘロ走ってきたから声かけたってのに。不発か」
それはそれはザンネンそうに舌打ちをする若松先輩。
まったく一言も二言も多い。



