「……祥」
一瞬泣きそうな顔をして、またうつむくお兄ちゃん。
自然と重なったお互いの手だけが震えていた。
「それにそれに、悪いやつはイースが倒してくれたしね!まぁその…めちゃくちゃ怖かったけどグロかったけど…」
もごもごと続けながら、男子生徒を肉塊にしていく後ろ姿がフラッシュバックしてくる。
あのときのイースはすごく怖かった。
いろんなショックが重なったせいで麻痺していたけど、今になってみたらよく正気でいられたと思う。
人体が無惨に切り刻まれていく様子。
淡々とそれを行っていく猟奇的なピエロ。
目に焼き付いた衝撃が遅れて私に襲いかかってきた。
ぶるりと鳥肌が立った。



