「わ、若松(わかまつ)先輩?」
驚いて指をさせば「こら、おろせ」と
普段通りのテンションで返される。
「す、すみません。ついびっくりして…」
「まぁ無理もない。この格好だ」
やれやれとでもいうふうに両手を広げる若松先輩。
どこか不服そうな面持ちだが、それでもスラッとした体に奇怪な色合いのスーツは不思議なほど似合っていた。
「なんですかその衣装、ピエロですか?」
「ピエロはお前のクラスだけで十分だろ。
ジョーカーだよジョーカー。俺の担任がアメコミオタクだから強制的に統一のコスプレをさせられてるんだ」
「そうだったんですね。お似合いです!」
「そりゃどうも。ハーレイ・クインは男だしバットマンともはぐれたけどな」
若松先輩はだらんと床にしゃがんだ。



