◇Clown Act◇⇧



「日下部くんのもとへ返してほしい。
アンタ怖いのよ」


「ナンセンスな呟きばかりして体力を無駄に消耗しないほうがいい。ボクはキミとの触れ合いが足りていないんだ」


「そんな愛玩動物みたいな扱い…」


「愛玩???ハハッ!冗談よしてくれ。愛でるのならもっとかわいげがあるものにするよ。バカで能天気で頭の弱いやつのそばってのは気楽なもんだろ?そういうことさ。分かったらさっさと口閉じて大人しくしてな」



こどもを相手にするように抱き上げられ、膝上におろされる。


コアラみたいにくっつく様子のなんとおかしなことか。


大きな体に対面から包まれ、イースと血の匂いが一緒になって鼻腔をくすぐってくる。


それでも温かくて、おとずれる睡魔にまぶたが下がっていくのを感じた。


こんなやつの体温でも疲れ切った体に沁みるなんて…



「考えることはたくさんできただろうけど、今はボクの中で休むといいさ」



イースの声がぼんやり聞こえる。



「やっとピエロちゃんの薬指がオレサマのモノになったぜ、へへ」


「キャラ違うでしょ…きもい…」


「はいはい。
ありがとうね、ピエロちゃん」



頭を撫でられる。


その穏やかな声に、眠気がピークに達した。





「良い夢を。ボクのかわいいピエロ」





イッツアスモールワールドが子守唄のように私の意識を沈めていく。