すると、黙っていた日下部くんが、静かにイースへと手を差し出した。
「イースさん、これ」
日下部くんの手に乗るものは、私の指から離れたはずのリングだった。
シルバーの表面がすべて埋まるくらい血に覆われている。
イースはリングを受け取ると、じっとそれを眺めた。
「これ、ピエロちゃんとクソ野郎どっちの血?」
「それを本人に答えさせるなんてどういう神経してるのか知らないけど、私の血」
「へぇ」
気の抜けた返事をしたイースが、ぱくっとリングを口に含んだ。
「は?なにしてんの?!」
あまりに突飛な行動におもわず体を起こす。
食べやがった?!
わなわなと絶句している私のことなど意にも介さないイースは、口の中のリングを自身の手に吐き出した。



