振り返ると見知らぬ人物が立っていた。


白塗りの顔。


裂けたような赤いペイントを施された唇。


頭一つぶん高い体躯に


パープルの派手なスーツをまとっている。


ピエロかと思い、ひゅっと息が詰まった。



「まて、怯えるな。俺だ」



私をなだめるような低くパキリとした声。


聞き慣れたものだと確信した瞬間、目の前のピエロもどきが、途端に馴染みのある人物へと変わった。