「僕の大切な…橋本さんが…」
そっと左手に触れられた。
欠陥まみれのそれは絶え間なく血を流し続けている。
動かすことができず、切断された部分が心臓になってしまったかのようにドクドクと脈動している。
「聖水かけるよ。もう大丈夫だからね」
美しい液体が肉の断面を包み込んだ。
みるみるうちに出血が止まり、耳にまで響く鼓動も収まっていく。
私の手には、赤に濡れた手袋だけが残った。
「ごめんね橋本さん。僕なんにもできなかった。
すぐそばにいたのに…僕…僕…」
ぎゅうううと抱きしめられる。
日下部くんは泣いていた。



