「イース…」
呼べば、イースの手から剣が離され硬い音を立てて床に倒れていく。
「ピエロちゃん…」
イースは深い息を数回吐くと、軽く指を鳴らしてその手に見慣れた聖杯を出現させた。
「日下部クン、これを、ピエロちゃんに」
その視線は私の隣に向けられる。
私と同じように硬直していたであろう日下部くんの動く気配をようやく感じることができた。
あまりにショッキングすぎて、人間である私たちふたりには処理が追いつかない。
「は、はい」
ぎこちない足取りで日下部くんが横を通り過ぎていく。
ピエロの衣装をまとった細身の背中が目に入れば、とてつもない安堵感に襲われた。
唯一そばにいてくれるイレギュラーの枠を外れない存在。
「しっかり持って。ボク手震えてるから」
「わ、わかりました」
聖杯を持った日下部くんがこちらに駆けてくる。



