「あんたには悪いが指は犠牲にさせてもらった。命までは奪らねぇから安心しな」
あたかも指ならいくら落としてもいいといったふうな言い分に、怒りを通り越して恐怖が湧いてくる。
この人はもう壊れてしまってるんだ。
大切なものを失いすぎて…
哀れみと絶望の渦中で硬直していると
視界の端の影がゆらりと動いたのを感じた。
オレンジ色のピエロが、一歩一歩を重たく踏みしめるように歩きはじめる。
その横顔は表情が抜け落ちていた。
ぞくりとする。
──ズッ、ズッ、ズッ
衣擦れにも近い音を立てながら、男子生徒と距離を詰めていくイース。
ひたりと足を止めると
剣の刃を、男子生徒に突き刺した。



