「え?」
漏れたのはたったそれだけ。
なにが起きたのか分からなくて、全力で突っ込んできた男子生徒が倒れたその下敷きになりながら、じわじわと血が滲み出てくる指の断面を見つめた。
私の左手。
そこには2本しか指が生えていない。
もとから赤い手袋をはめていたと錯覚を起こしそうになるほど布に染み渡る鮮血。
横たわる私の手の向こう側に
小指、薬指、中指"だったもの"が転がっている。
そして…イースからもらったリングも。
頭から爪先にかけてサアッと冷たくなる。
綺麗に断裂された肉と骨が自分の体の一部だということ。
痛みよりも強く感じたのは──絶望。



