利害も、駆け引きも
そういうのなんていっさい頭になくて
私を動かしたものは、100%のエゴだった。
きっとそれが目の前の不安定なピエロに贈れる最善の選択でもあった気がするから。
いつもムカつく表情を向けられているお返しに、歯を見せて笑ってやろうとした時
撫でるような優しい動作で手をすくい上げられた。
それは左手。
今度は私が左手を取られる番だった。
驚きのあまり数秒前までのいたずら心がどこかへ飛んでいく。
ピエロの様相をしているにもかかわらず、王子様のような所作をするイースに鼓動が跳ねる。
だがそんな彼の表情は真剣そのものだった。



