「心というのは、無下にされたら傷付く」 「……」 「お兄ちゃんに傷を付けられた左手。その、まあるい血の跡が目に入っちゃったの」 赤の上を、親指の腹で優しくさする。 隆起しているのは、私が充てたハンカチだ。 「あんなに嫌がっていたのに……そのままなんだね、ハンカチ」 「忘れてただけだ……」 「そっか。まだ痛む?」 「……痛む、から、まだ外さない」 イースはうつむきがちに言い、ふいと視線をそらした。