「生きてほしい。
私の運命をあなたにまで背負わせたくない」
伝えれば、蜂蜜色の瞳が大きく揺れた。
私から逃げるように数歩後ずさる。
その表情はなにかに耐えるような、苦しげなものに変わっていく。
「……だからボクは利用するんだよ。
このゲームで、キミの、こころを」
覇気のない声が生まれる。
あんなに私を映していた双眸は伏せられたまま一瞬たりともこちらを見ようとしない。
「ボクは…本来ならゲームはしない。誰の道化にもならない。だから今この時間がすごく特別で…怖いんだ」
「怖い…?」
「ああ。ボクはキミだけのピエロを演じる。
今だけはボク一人を見てくれるだろ?」
「イース、なにを言って…」
「でもそれは敵として、キミが生き残るためのアイテムのひとつとして見られているだけだ。ゲームをしても、それに勝っても負けても、キミはボクと生きてもくれないし死んでもくれないだろ」
真っ赤なペイントを施された唇から淡々と紡がれる言葉にはどうしようもない哀しみが滲んでいた。
私の知りうるイースとはかけ離れすぎていて困惑してしまう。
なのに目が離せなかった。
そして、いつかのイースの言葉が浮かんだ。



