.
廊下で始まった、3つ目のゲーム。
『危険なことはしない』
そうイースは言ったので、日下部くんもすぐ近くで私を見守っている。
とても不服そうではあるが、私の気持ちを汲み取ってくれたのか彼は黙って身を引いてくれた。
この性悪ピエロのことは信用できない。
なにがあってもいいように警戒心を保ちつつ目の前を睨む。
「キミに行ってもらうゲームは簡単サ。この2枚のトランプからボクの指定したカードを選ぶことができればキミの勝利。トモダチになってあげる。どうだい?分かりやすいだろ?」
ゆらりと掲げられた2枚のカード。
つまり2分の1を当てろということか。
至って単純明快なルール。
たしかに危険は無いように思えるけど、あまりにシンプルすぎると逆に勘繰ってしまうのが人の性だ。
「聞いたかぎり…シャルドより全然真っ当な運勝負ではありそうね」
「当たり前だ。あんなやつと一緒にしないでくれ。ボクはああいうズルいのは好きじゃない。道化をするならきちんとしたいんだ」
心底嫌そうなトーンに嘘の影はなかった。
他人はどうでもいいが、自分の中の規則には厳しい。
そんな印象を受ける。
グループのメンバーで唯一純粋な好意を向けていたのが若松先輩だったことが今になってようやく納得できた気がした。
けど
「…私が負けたらどうなるの?」
どうせ一筋縄ではいかない。
シャルドやクーピーのようになにかペナルティがあるはずだ。
問えば、イースがさらりと答えた。



