◇Clown Act◇⇧







「ボクの名は"イース"

心を利用するピエロさ。


橋本 祥

キミとトモダチになることを

希望する」







宣戦布告のように言った。



「ま、待ってください!この流れでどうして橋本さんになるんですか!あなたのわがままで巻き込まないでくださ─」


「日下部くん、大丈夫」



イースに食ってかかった日下部くんの肩に手を当てる。


諭すように数回さすって、前へ出た。





「わかった。
私とトモダチになって、イース」





私は、この性悪ピエロと出会った時のことを思い出していた。


フィムがくれた左手の薬指のリングを外させたピエロ。


私と同じ赤い血が流れているピエロ。


人の心を知っているピエロ。


どこかで、こいつと対峙する瞬間がくるのだと知っていた気がする。


太陽みたいなオレンジと


雲のようなホワイト


交互に並ぶ縦縞模様の衣装を見つめながら、一度瞼を閉じて、てのひらを差し出した。


私が、みんなを守る。





「もちろんだよ。

ゲームを始めようか、祥」





一回り大きい手が、ほのかな喜色をまとわせながら私の手を握り返した。