「ボクの名は"イース"
心を利用するピエロさ。
橋本 祥
キミとトモダチになることを
希望する」
宣戦布告のように言った。
「ま、待ってください!この流れでどうして橋本さんになるんですか!あなたのわがままで巻き込まないでくださ─」
「日下部くん、大丈夫」
イースに食ってかかった日下部くんの肩に手を当てる。
諭すように数回さすって、前へ出た。
「わかった。
私とトモダチになって、イース」
私は、この性悪ピエロと出会った時のことを思い出していた。
フィムがくれた左手の薬指のリングを外させたピエロ。
私と同じ赤い血が流れているピエロ。
人の心を知っているピエロ。
どこかで、こいつと対峙する瞬間がくるのだと知っていた気がする。
太陽みたいなオレンジと
雲のようなホワイト
交互に並ぶ縦縞模様の衣装を見つめながら、一度瞼を閉じて、てのひらを差し出した。
私が、みんなを守る。
「もちろんだよ。
ゲームを始めようか、祥」
一回り大きい手が、ほのかな喜色をまとわせながら私の手を握り返した。



