「時間がないって言ってるだろ!橋本さん、ここは折れよう。僕だって橋本さんとふたりになりたいけれど、イースさんがいてくれたほうが利点は多いはずだから」
「日下部くん…私の心の安寧は…」
「ぼ、僕が手を繋いでる。頼りないかもしれないけど、これで許してくれないかな」
不安げな上目遣いに胸を撃ち抜かれる。
「わかった。全然大丈夫。私がんばる」
「単純だなぁピエロちゃんは。てか、日下部クンてけっこう打算的に動くタイプなんだね」
イースがどこか不満そうに日下部くんを見た。
「そ、そんなつもりはないですけれど…。打算的な選択が橋本さんの最善になるのなら僕にとって迷う理由にはならないので…」
「ふーん…。イカれ王子やジョーカーくんとはちょっと違うタイプのキモさだね」
「なんとでもどうぞ。僕は橋本さんがいれば他になにもいらないですから」
「ハハッ、キモイね。早く死なねーかな」
視線を交わらせる日下部くんとイース。
どこか険の滲みを感じてピリピリしている。



