「若松先輩の覚悟をなんだと思ってるんですか!」
「その覚悟はゲーム終了後に君が奪われそうになった時点で放棄されているだろう?」
「だからって…っ!じゃあどうするんですか!若松先輩に残った傷はもう取り返しがつかないんですよ!?」
「それはぼくも同じだ。これは結果だ」
「はぁ?!」
「若松の覚悟とやらは放棄された。顔にも傷が残った。だが、一番大切な君を守れた。
それでいいじゃないか」
「よくありません!そんな理由で若松先輩が納得するわけないです!」
「どうだかな。若松はピエロよりも、傷よりも、君を守ることだけをひたすらに考えていたように見えたが」
「いいえ、若松先輩はそんな余計な感情を優先する人じゃありません。生き残るためにゲームをしたんです。私への気持ちはそれによって付随してきたものにすぎません」
「謙遜してるのか知らないが。ぼくの意見を若松に伝えれば確実に納得すると思うぞ。あいつにもプライドがあるからな」
「そんなの知りません。今までのすべてを無に帰してしまったあなたはピエロなんかよりよっぽど最低です」
「ずいぶんとひどいこと言うな?」
「ひどいのはどっちですか?ここでリングを獲得できれば私たちのチームはノルマクリアだったんです。もし若松先輩がそこまで強く私を守りたいと思ってくださっているとしたら、生き残る可能性をひとつ捨ててしまったこの瞬間自体が、若松先輩にとって望んでいなかった結果になるんですよ」
「………」
「負けたら終わりなんです。死ぬんです。
守りたかったものも、すべて」
「………」
「どうしてこんなひどいことするんですか…」
視界がぼやけた。
頬が濡れていく。
まるで話が通じない。
わがままで自分勝手で、言っていることがめちゃくちゃな王様。
何がしたいのか分からなかった。
人が変わってしまったのかとすら疑ってしまう。



