「君、祥という名だったな?」
「はい…よくご存知で」
「もちろんだ。橋本くんも、若松も。なにかあるたび君の名を口に出していたからな」
大鳳会長は微笑ましげな表情を浮かべたあと、おもむろに床に転がるふたつのリングを拾い上げた。
「祥」
「は、はい」
「"深い想い"というものは
使い方を見誤ってはいけない」
「え…?」
「正しく使えば、君は邪魔者なんかじゃなくなる。とても優しく美しく」
王はふたつのリングを握った手を振りかぶり
「人を愛に狂わせる
───危険なピエロとなる」
開いていた窓から
空高くへとリングを投げ捨てた。



