とにかく、嘘でも本当でも言われた通りにしたほうがいい気がした。
そして笑ってしまえばいいんだ。
なーんだ、ただのいたずらかって。
どくどくと速い心臓に震える呼吸。
唇の端が痙攣しそうになって必死に口を引き結ぶ。
おぼつかない足どりで教室を出れば、数分前まで文化祭を楽しんでいたであろう生徒たちが一様にスピーカーを見上げていた。
「なんださっきの…。てか音楽の放送は禁止だろ?運動会でも始まったのかよw」
「いたずらじゃねーか?
それより体育館行こうぜ」
「でもなんか普通じゃなかったよね?
私はグラウンドまで行ってみる」
「そうしよ、本当かもしれないしさ」
信じない者、信じて走りだす者。
反応はまさに十人十色だ。
混沌とする中、ポケットのスマホが鳴った。



