「よし、傷は塞がっているな。安静にしていればどうということはないだろう」
若松先輩を救ってくれた王の背中を呆然と眺める。
目の前の敵と正々堂々戦い、ライバルだった若松先輩のことまで助けた。
おまけに、理不尽な目に遭っていたピエロたちのことも救っていただなんて。
人を見下しているだけの嫌味な王様かと思っていたのに。
なんなんだ、この人は。
安らかに眠っている若松先輩の
横顔が目に入る。
その左頬には
一生消えない傷痕が刻まれていた。
喉が痛んで泣きそうになる。
だがそれをこらえて唇を噛んだ。
「貴様と揃いの傷をこさえることになるとは。世の中分からないものだな」
大鳳会長はどこか楽しげに言うと、無駄な所作なく立ち上がる。
その目には光が無かった。
「……っ?!」
ぞくりとして呼吸が止まる。
見て取れる彼の感情は、純度の高い怒りだった。



