血を吐きながら、どこか無垢なこどものようなまなざしで私に縋る若松先輩。
袖を握る手はけっして離れようとしない。
この人は虚勢を張っていただけで、本当は怖かったんじゃないだろうか。
キズモノになることも。
そんな自分を見た橋本祥に
嫌われてしまうことも。
「……痛かったら言ってくださいね」
「かま、わん…いたくしろ」
「意味がわかりません」
役立ずな手袋にもできることがあった。
そっと、壊れ物に触れるみたく、血まみれの頬に手を添える。
怖がりなジョーカー。
ごめんなさい。
愛おしさが溢れてしまった。
できることならなんでも叶えてあげたかった。
吸い付くように、傷口へと唇を当てる。
鉄と若松先輩の匂いがした。
「どんな若松先輩でも好きです」
囁いてもう一度くちづける。
先輩の肌がほんの少し震えた。
「おれの、ほうが…」
「……」
「ずっと…ずっと…
おまえの、こと、すき」
視線が重なる。
毎日のように見た。
見慣れた、挑発的な瞳。



