「ひとつ、言っておこう」 若松先輩が手中のナイフを軽やかに回転させた。 ニッと これからキズモノになる左側の唇を持ち上げる。 「今後、俺にできた傷の理由を問われた時、もしくは自分自身に問う時、必ずこう答えるさ」 ついにジョーカーは刃先を標的に向けた。 「愛するピエロを守るためにやった、と」 それは一瞬のことだった。 切れ長の目が私をとらえると せつなそうに細められて 粘膜を抉る音が、この場に響いた。