室内も廊下も、温度が一気に冷えた。
もう言われなくてもわかる。
裂けというのだ、自身の口を。
私と日下部くんは声すら出せずに震えた。
無茶なお題を出された若松先輩と大鳳会長は、各々手の中にあるナイフを見つめている。
「なるほど。だが貴様らピエロに慈悲など無い。刃の尖端で薄くなぞるくらいでは合格基準にかすりもしないだろう?」
「よくわかってるね。
そうだよ。
ちゃんと口の端に刃を当てて
ボクのラクガキどおりに裂くんだ。
いいね?」
「ああ。承知した」
自分の顔に消えない傷を作れ。
そう言われたも同然。



