◇Clown Act◇⇧



「キズモノになった俺は嫌いか?」



どこか切なく訊かれ、ふるふると首を横に振る。


いじわるなまなざしが優しくほころぶと
もう一度だけ私にキスをして手を離した。



「お前の顔に傷がつくくらいなら、俺自身の鼻を削いだ方が100万倍マシだ。そこの性悪ピエロ野郎だっておなじだろ?」



切れ長の目がちらりと横に視線を流すと、オレンジの性悪ピエロは「べつに」なんて言って目をそらした。



「だそうだ。愛されてるな?」


「若松せんぱ…」


「愛されるのはかまわねぇけど、お前が愛するのは俺だけにしろ。そうじゃなきゃ許さない。殺す」


「物騒すぎます」


「うるせぇ。お前は俺だけのピエロだ。黙って待ってろ。いいこにしてないと次はキスだけじゃ済まさないからな」


「んっ…」



噛みつくように唇を覆われ
奪われた舌にガリッと痛みを刻まれる。


離されれば口の端から何かが垂れた。


フレアスカートに落ちる赤い水滴。鉄の味。



「せんぱい、痛い…」

「あぁ、誰のものか忘れないようにな」

「行かないでください」

「安心しろ。死にはしない 」

「先輩っ、ん…!」



話すたび舌にビリリと痛みが走る。



「ははっ、大人しくしてろよ。俺のピエロ」



若松先輩はとんがり帽を撫でると
そのまま教室内へ戻っていってしまった。