「祥」
若松先輩が目の前にいた。
一時中断してきたのだろうか、クーピーも大鳳会長も黙ってこちらを見ている。
「まったくお前ってやつは…
どこにいても手のかかる後輩だ」
ふんわり頬を包まれる。
真正面から見る、ニヒルな雰囲気の整った顔。
それでも私に触れる手はどこまでも優しかった。
「若松…先輩……」
「手がかかるが…俺はそんなお前が可愛くて仕方ないのかもな」
鼻同士をつんと合わせられる。
「お前は誰のピエロだ?」
「若松、先輩」
「ん、いいこだ。
お前は俺の大切なピエロだ」
「……」
「俺はな、俺のものに傷がつくのが一番嫌なんだ。わかるだろ?」
「わかりません…」
「今度はわるいこか?
ご主人様の言うことはちゃんときけ」
「せんぱい、やだ」
「やだじゃねーよ」
口を塞がれた。
熱く、深く
私を殺してしまいそうなほどの重たく強い、若松先輩に秘められていた想い。
唇を通して容赦なく注ぎこまれる。
じんわり心臓にナイフを刺されるみたいに。
死んでしまいそうだった。



