「シャルドは勝ちを確信していた。その隙を突いたんだね。あんな余裕ぶっこいてた王子が自分の思う通りに死んでいくなんて愉快だろう?手元なんて警戒してなかったんだ。万が一でも猛毒を口にする可能性が無くなったから油断したんだろう。シャルドはバカだ。本当にバカだねぇ」
イースはしみじみと言う。
お兄ちゃんはそこまで頭の中で計画していたってこと?
「自分が持っている林檎が毒林檎だなんて夢にも思っていないシャルドはそのまま食べてご臨終。王子くんはピエロちゃんのことしか頭にないから良い意味で他人に先入観を持たないんだと思う。シャルドと話して見抜いたんじゃないかな、こいつは嘘つきだって。普段から馬鹿正直なピエロちゃんのそばにいるんだもん余計だろうね」
「え、兄ちゃんがシャルドとめちゃくちゃのんきに話してたのって…」
「シャルドがどんなやつか測ってたんだと思うよ?のんきすぎておもわずツッコんじゃったけど」
ケタケタと笑うイース。
「あんなに計画性の高い脳筋見たことないね。彼はけっして捨て身でシャルドに挑んだんじゃない。ピエロちゃんを狙ったあいつを確実に殺すための方法として毒林檎を食べることを選んだだけ。まぁ…猛毒味わうってのに躊躇なく突っ走っていけるあたりガチモンて感じするよ。キミのお兄ちゃんが敵側の人間じゃなくて本当に良かったね」
呆然とする私を置いて
イースは「ネタバラシ終わり」と立ち上がった。



