シャルドのトリックは呆れたものだった。
10分前に飲んだ林檎
5分前に飲んだ林檎
直前に飲んだ林檎。
これは毒の強さのヒントだった。
つまりシャルドの言っていた
「すべてに即効性の毒が塗ってある」はフェイク。
10分、5分前に飲んだ林檎にたいした毒は塗られていなかったのだ。
即効性かつ猛毒だったのは
直前に飲まれた林檎だけ。
シャルドは普段から毒を使用しているため耐性はあるらしいが、そんな彼でも慎重に扱う必要があるほど危険性の高い毒が塗られていた。
だから直前に飲んだのだ。
つまり毒林檎の確率は
2/3ではなく1/3だった。
仮に対戦相手が猛毒を選ばなくとも、他の林檎にも微量の毒が塗ってあるので当然体に支障は出る。
意識が朦朧として動けなくなっている隙に殺すという算段だった。というわけだ。
狡猾にもほどがある。
「運は平等」という言葉を逆手に取った最悪のショーだ。
こんなもの、トリックでもなんでもない。
ただ人を殺すために作られた計画だ。
若松先輩も日下部くんも渋い顔をしていた。



