「お兄ちゃん…!」
「まだ目は覚めない。一度死んでいるからね。少し時間がかかるけど、もう平気だ。またお兄さんと一緒にいられるよ」
「フィム…ありがとう…っ」
瞬きなんて必要ないほど涙が溢れて、フィムはそんな私を優しく抱きしめた。
お兄ちゃんが助かったこと。
恐怖から開放されたこと。
とてつもない安堵に私の涙腺はどうにかなりそうだった。
「ピエロちゃん」
イースが私を呼ぶ。
ほら、と投げられたものをとっさに受け取った。
手のひらには、リング。
「そのイカれお兄ちゃんの大健闘だ。
きちんとはめておきな」
本来の姿が分からないほど赤く染まったリング。
シャルドは絶命していた。
お兄ちゃんやたくさんの生徒の命を奪った最悪のピエロ。
シャルドへの殺意を腹の底に押しこんで、リングを人差し指にはめた。



