「ゲホッ…ゲホッ!」
「お、お兄ちゃん…」
「……祥」
お兄ちゃんが私を見る。
シャルドに向けていた鬼のような剣幕が抜け落ち、いつもの優しい兄の顔に戻っていた。
「ね、言ったでしょ…絶対守るって…」
「やだ、やだよこんなの!」
「泣かないでよ…?
かわいい顔がもったいない」
お兄ちゃんが両手を伸ばし、私の頬を覆う。
引きよせられ、唇の端にキスをされた。
「あーあ…本当は真ん中にしたかったのに。毒が付いてるからできないや。祥のファーストキスはお兄ちゃんがもらうんだって、大事に大事に守ってきたのになぁ」
私の唇の真ん中を、優しい親指が這う。
悔しそうに笑うお兄ちゃんの顔に私の涙がぽたりと落ちた。
「愛してるよ…祥」
「お兄ちゃん…いやだよ」
「きっとシャルドは死んでる。
ほら、早くリングを取っておいで」
「お兄ちゃん!」
自分のことを一切かえりみないまま目を閉じようとするお兄ちゃん。
必死に声をかけても、その体からは力が抜けていくばかり。
お兄ちゃん…いやだ!!!
ひとつの命が途切れる、その刹那だった
「この中で♥のアイテムカードを
持っているのは誰だ?」
空気を一閃したのは
フィムだった。



