聖者の行進


誰もが一度は耳にしたことがある有名な曲だ。



放送部が流しているのだろうか?



妙な違和感が胸をつついた。



第一、それぞれのクラスが作り上げた雰囲気の妨げになるからと音楽を流すことは禁止されているはず。




「なんだろ…なにかのお知らせかな?」




この教室にいるのは私ひとり。



黒いカーテンで締め切られたほの暗い空間に織り交ざる、聖者の行進。



あまりにも不協和音に聴こえて不気味だった。



そのとき、視界の端に入ったピエロが
笑った気がして───