◇Clown Act◇⇧


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~数分前~




『橋本……頼んだぞ』



自分が当たりを引く覚悟をしていたのだろう。


若松先輩は血の気の引いた顔でお兄ちゃんにそう託していた。


対してお兄ちゃんはひとつの動揺も見せていなかった。


むしろどこかわくわくしたような顔で



『なにをそこまで深刻そうにしているんだい?嬉しいくらいだ。当たりを引きたくてたまらなかったからね』



と、上機嫌に赤色のトランプカードを眺めていた。


どこからそんな余裕が出てくるのか。


普段と変わらぬマイペースでいられるのか。


若松先輩も日下部くんも唖然としていた。


じっとお兄ちゃんを見つめていれば、視線が重なる。



『祥…』



両頬を包まれる。それから、鼻先にキス。



『お兄ちゃんが祥のことを守るからね。
心配しないで見ていて?』



安心させるみたいに
ぎゅうううと抱きしめられる。


泣いてしまいそうだった。


この抱擁が最後になってしまうかもしれないのだ。


しばらくしてお兄ちゃんから離されると


若松先輩に引き渡され、ふらふらとした足取りで壇上からおりたのだった。


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