「あの階段には特に危険な仕掛けはないよ。気を付けてのぼれば問題ない。ただこれから向かうなら体育館をオススメする」
沈黙を破ったのは
パープルのピエロだった。
当然のように私の隣へやってきて、誰にも分からないくらいさりげない仕草でリングのはまる薬指に触れてきた。
「え…あなた…」
「オレの名は"フィム"そう呼んで。
ついさっきキミに服従の誓いを立てた、ただの味方ピエロさ」
碧い目が陽を反射させた。
今度は愛おしげに薬指を撫でられる。
「キミの名前は?」
「わ、私?」
「そう」
「祥…です」
「ショウか。素敵な名だね」
夜をそっと照らす、優しい月明かりのような笑顔。
なんだか懐かしい心地になって
「ありがとう」と穏やかな声が出た。
それから、お兄ちゃん以外の2人もフィムに自己紹介をした。
先ほどの問答があったせいかお兄ちゃんは私の言葉以外返答してくれなくて、結局フィムには「王子くん」と呼ばれることに。



