「は、橋本さん…」
「日下部くん…」
お互い目を見交わす。
「あのピエロから離れた方がいい。
僕、なんだか怖くて仕方がないんだ」
「わかるよ。私もそうしようと思ってた。早くお兄ちゃんと若松先輩連れてここから──」
『残り時間90分~☆
まだまだ楽しんでね~!』
放送が流れた。
もう30分が経過した。
この奇妙なピエロのせいでずいぶん時間を食ってしまった。
「まずいな。多目的室から出てまだろくに進んでないぞ」
若松先輩がお兄ちゃんの腕を引いてこちらへ来る。
お兄ちゃんは2体のピエロをひたすら睨み続けていた。
「ど、どこへ行きましょう…っ。
早くしないと、僕たちっ」
「落ち着け、まだ焦る時間じゃない。ノルマはあと2体だ。階段をのぼって上に…」
同じ場所に視線が集まる。
うねうねと動く不規則な階段。
見てくれだけか、それとも、他にもなにか仕掛けがあるのか。
あの階段を駆け上がる勇気がどうしても湧いてこなかった。
メンバーの誰もが口を閉ざす。



