◇Clown Act◇⇧


「は、橋本さん…」


「日下部くん…」



お互い目を見交わす。



「あのピエロから離れた方がいい。
僕、なんだか怖くて仕方がないんだ」


「わかるよ。私もそうしようと思ってた。早くお兄ちゃんと若松先輩連れてここから──」







『残り時間90分~☆

まだまだ楽しんでね~!』





放送が流れた。


もう30分が経過した。


この奇妙なピエロのせいでずいぶん時間を食ってしまった。



「まずいな。多目的室から出てまだろくに進んでないぞ」



若松先輩がお兄ちゃんの腕を引いてこちらへ来る。


お兄ちゃんは2体のピエロをひたすら睨み続けていた。



「ど、どこへ行きましょう…っ。
早くしないと、僕たちっ」


「落ち着け、まだ焦る時間じゃない。ノルマはあと2体だ。階段をのぼって上に…」



同じ場所に視線が集まる。


うねうねと動く不規則な階段。


見てくれだけか、それとも、他にもなにか仕掛けがあるのか。


あの階段を駆け上がる勇気がどうしても湧いてこなかった。


メンバーの誰もが口を閉ざす。