◇Clown Act◇⇧



下唇を指でなぞれば赤色。



唾液にまざる鉄の味。




「最低……」




つぶやけば、懲りもせずにまた

「かわいいなぁ」と返される。



嫌悪感を通り越して恐怖すらおぼえた時だった




「や、やや、やめてくださいっ」




小さくもはっきりとした声が、私とピエロの間を裂いた。



視線を向ければ、ガタガタと震える日下部くんの姿。



誰よりも怯え、誰よりもこの状況に困惑していた彼が、声を振り絞ったのだ。



膝を笑わせながらこちらへ来ると、私の手を取り、自身の背に隠した。