「ストップ」
とっさに反応したのはお兄ちゃんだった。
ものすごい大股でこちらに歩み寄ってくる。
目には燃えるような怒気が浮いていた。
「俺の妹になにをした?どこにリングをはめた?本当に殺してやらないとわからないのか?」
だんだんと低くなる声に本気の殺意が滲んでいて、標的ではない私にすら恐怖が飛沫する。
「ハハッ!いいね!やっちまえ!」
「なに笑ってやがる下衆ピエロ!
おい橋本落ち着け!」
愉快そうに手を叩くオレンジピエロをどかし、若松先輩がお兄ちゃんをうしろから羽交い締めした。
そうでもしないと本当にピエロの命を奪ってしまいそうで。
私は立て続けに起こる兄の豹変に動くことができなかった。



