「あ~あ、なんだ。皮ひん剥かないのかよ。つまらないなぁ」
心底がっかりしたような声が空気を割った。
触れかけていた指先がピタリと固まる。
お兄ちゃんでも、若松先輩でも、
日下部くんでも
この、目の前のピエロでもない。
首だけを回す。
声の主は、今まで一言も喋らなかった
2体目のピエロだった。
三日月型に目を細めてゆったりと近づいてくる。
やがて私たちの真ん中までくると、長い足を止めた。
じろり、じろり
高い背を屈めて、私たちのグループ
一人一人の顔をじっくりと見てくる。
観察…というより、品定めされているような感覚だった。
なに、こいつ…。
肌がざわざわする。
放つものがパープルのピエロとは正反対…
どこか危険な香りが全身から漂っていた。



