「……祥、どうしたの?」
「傷つけるのはよくないよ。
お願いだからやめて」
「かわいい祥のお願いでもそれはきけないよ。だってこいつは祥の綺麗な体に無断で触れては汚してきたんだ。俺が許さない。大丈夫、殺しはしないから」
「お兄ちゃんが誰かを傷つけるところなんて見たくないよ!」
「じゃあ目をつぶっておきな?ああ、ちゃんと顔は隠してね。瞼を閉じている顔もかわいいから誰にも見せたくない」
「絶対いや!ねぇお兄ちゃんやめよう?このピエロさんは悪いピエロじゃない気がするの…」
「……」
一触即発の空気。
それを破ったのは「やめろ」という若松先輩の声だった。
お兄ちゃんの肩を掴み、ピエロから距離をとらせる。
意外にもすんなりとされるがままに離れたお兄ちゃんを確認すると、私はすぐさまピエロへと視線をやった。



