「ま、待ってくれ…!オレはべつに危害を加えようとしたわけじゃない!ただ、そのピエロの女の子が……」
「ピエロの女の子が、なんだい?」
ゆらり、立ちはだかった背中。
お兄ちゃんだ。
誰よりも煌びやかな衣装を身に纏いながら、いっさいの温度を感じさせない様相に危険を感じた。
「誰の許可を得て、妹の体に触れた?君のようなモノがいきなり近づいてきて挙句に抱きしめてくるだなんて。恐ろしい。君は俺の妹を怖がらせた。汚い手で触れた。穢したんだ。分かるかい?」
低い低い声で言葉を連ねながら、王子はピエロににじり寄る。
「なんのつもりかは知らないが、皮一枚は持っていかれる覚悟はできているんだよね?」
その手にはアイテムカードが握られていた。
なんの迷いもなくピエロの首もとに当てがうと、みちみちと食い込ませていく。



