お兄ちゃんと若松先輩がとっさに私を守るように構えた。
のを、するりとすり抜けると、ピエロは迷いなく私のもとへやってきて
ふんわりと抱きしめたのだった。
「?!?!」
突然のことに意味が分からなくて、石のように固まる私。
「見つけた、ここにいたんだねっ」
耳元で聞こえてきたのはそんな言葉だった。
……は?
フリーズしている私を置いていくみたいに、目の前の事態が進んでいく。
「は、はし、橋本さん…っ!」
「おいお前!何してるんだ離れろ!」
動揺する日下部くんを押し退けて若松先輩がピエロの腕を掴み、私から思い切り引き剥がす。
ピエロはよろけながら離れた。
若松先輩は「こっち来てろ!」と私をグループの中央に引っ張った。
その横顔には汗が滲んでいる。
当然だ。
おかしな階段の変化に
ピエロからの謎のアクション。
こんなイレギュラー続きなどきいてない。



