◇Clown Act◇⇧



お兄ちゃんと若松先輩がとっさに私を守るように構えた。


のを、するりとすり抜けると、ピエロは迷いなく私のもとへやってきて


ふんわりと抱きしめたのだった。



「?!?!」



突然のことに意味が分からなくて、石のように固まる私。



「見つけた、ここにいたんだねっ」



耳元で聞こえてきたのはそんな言葉だった。



……は?



フリーズしている私を置いていくみたいに、目の前の事態が進んでいく。



「は、はし、橋本さん…っ!」


「おいお前!何してるんだ離れろ!」



動揺する日下部くんを押し退けて若松先輩がピエロの腕を掴み、私から思い切り引き剥がす。


ピエロはよろけながら離れた。


若松先輩は「こっち来てろ!」と私をグループの中央に引っ張った。


その横顔には汗が滲んでいる。


当然だ。


おかしな階段の変化に


ピエロからの謎のアクション。


こんなイレギュラー続きなどきいてない。