「ピ、ピエロっ…!」
恐怖か、驚きか。
どちらとも分からぬまま口をついて出た私の声に、2体のピエロがこちらを向いた。
4つの目と視線が重なる。
ありえないことだけど、確かにどちらの瞳とも交ざり合ったのだ。
どうしよう…まさかあっちからくるなんて。
しかもお兄ちゃんからあんな話を聞かされたその直後。
心の準備などまったくできていない状態だ。
私たちのグループに緊張感が走った。
とっさに若松先輩を見れば、鋭いまなざしで警戒しているのがうかがえる。
誰がどう動くか。
膠着状態になりかけたその時
片方のピエロが駆け足でこちらにやってきた。



