「選ばれた男女には、中央に出て来て一曲踊ってもらうのでそのつもりで! ではでは発表しまーす!! まず、男子!」
ジャカジャカジャカジャカとご丁寧に吹奏楽部がドラムを叩いて場を煽る。
ジャジャーンッ!!
「生徒会長、九条神琴さーんっ!!」
発表されたのは、予想通り過ぎる名前だった。
まあそりゃそうだよね。あのサボり魔だった九条くんが、今日はステージで大勢の観客を沸かせたのだ。今年のMVPの座は譲ってやろうじゃないか。
「次は女子の発表です!!」
ジャカジャカとまたドラムが叩かれる。
女子かぁ。女子は私的には朱音ちゃん一択なんだけど、そうなると朱音ちゃんが九条くんと踊ることになってしまうのか。個人的には複雑だ。
ここだけの話、朱音ちゃんは九条くんのことが好きなんじゃないのかと私は睨んでいる。
もちろん本人に確かめたことは無い。けれど朱音ちゃんが真っ赤な顔して首振り人形になるのは九条くんの前だけだし、わりと的を得ていると思う。
もしそうならば私は友達として、朱音ちゃんの恋を応援したい。その気持ちに嘘はない。
「…………?」
なのに何故か心にシコリのようなものを感じて、モヤっとする。
それはきっと、大好きな朱音ちゃんを九条くんに取られたくないから。
でも、本当にそれだけ……?
モヤモヤの答えを手繰り寄せたその時、ジャジャーンッ!! とドラムの音が響き、司会が叫んだ。
「女子は副会長、雪守まふゆさんっ!!」
「…………は?」
瞬間、出そうになった答えが全部ふっ飛んでしまい、私は思わず気の抜けた声を出した。
「さぁお二人とも、中央へどうぞ!!」
いや、どうぞって何? なんで私が選ばれてるの?? ちょっと待って!? 何が何やら、全然理解が追い付かないんですが!!?
予想外の事態にパニックになっていると、スッと目の前に右手が差し出される。
「……?」
「踊らないの?」
差し出された右手を辿れば、やはり目の前に立っていたのは九条くんだった。
混乱する頭でなんとか聞かれた質問に答えようと、口を開く。
「……私、社交ダンスなんて踊ったことないし」
「俺がリードするから大丈夫だよ」
「…………」
