「うわぁぁああ!! みなさん大変ですよぉぉっ!!!」
「なんだよ木綿、うるせぇ!」
騒がしく教室へ入って来た木綿先生に、すかさず夜鳥くんが罵倒する。
しかしどうやらそれどころではないらしく、血相を変えた先生が更に叫んだ。
「生徒会の出番が早まったんですよぉ!! みなさん、今すぐにステージへ向かってくださいっっ!!!」
「は?」
生徒会メンバー全員が怪訝な顔をして、もっと詳しく話せと木綿先生を急かす。
「それが……。今ちょうどステージでは学校長の挨拶が始まっていたのですが、観客から〝話が長くてつまらない〟だの〝早く生徒会を出せ〟だの〝ハゲてる〟だのヤジられてしまったらしく、心が折れたそうです」
なんだそれは。
「なので学校長の出番が、予定より随分と早く終了してしまったんです。今はなんとか司会が場を繋いでいますが、生徒会コールまで巻き起こっていて収集がつかないみたいで……。だからみなさん、とにかく急いでくださいっ!!」
「はあっ!?」
あんまりな理由に絶句する。
確かに学校長の話は長いしつまらないが、ヤジは気の毒だ。それに身体的特徴をあげつらうのはよくない。
しかし今は学校長の心傷よりも、ステージである。
「分かりました、急ぎましょう!」
こうして私達は木綿先生に急かされるまま、クラスのみんなに声を掛けて、急いで喫茶店を後にしたのだった。