雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「お前なぁ……。学校中で大騒ぎになってんぞ。紫髪のメイドが一人で接客してるって聞いて、慌てて来てみりゃ……」

「紫の長い髪をハーフアップにして、雪の結晶を模した銀細工のバレッタをつけた赤い瞳の女の子。なーんて、学校中探しても雪守ちゃんしかいないしね」


 そう言う二人も、きちんと執事服で身を包んでいた。そっか、まさか外でそんなに大騒ぎになってたとは全く気づかなかった。
 二人だって忙しいだろうに騒ぎを聞いて駆けつけてくれたなんて、嬉しいけど申し訳ない。それに九条くんと木綿先生にも迷惑をかけてしまった。


「ごめん……」

「まったく。君は早めにステージに行くと言っていたのに、時間が近づいても待てど暮らせど現れないじゃないか。そりゃあ何かあったと思うだろう? 忘れてるみたいだけど、俺達もこのクラスの一員なんだからね? 困った時は頼ってって言ったのに」

「う……」

「まーまー九条様、そこは頼れなかった事情もあるんでしょうから察してあげないと」

「それは分かるが……」


 九条くんの小言にぐうの音も出ない。雨美くんはフォローしてくれるが、今回は完全に自分の能力を見誤った私が悪いのは明白だった。


「とりあえず、気を失っているこの客達は一旦保健室に運ぼう」

「……うん」


 九条くんの言葉に、木綿先生と数人の男子達が、完全に伸びている客達を教室から運び出す。その様子をぼんやりと見つめながら考えてしまうのは、やはりあの不気味な黒い妖力のことだ。
 親衛隊の時も今も、まるで私を狙っているかのように思えてしまう。


 でもそれは一体、誰が何のために――?


「おい、お前らもそこで固まってないで、さっさと出て来いよ」

「うっさい! 分かっているわよ!!」

「?」


 出せない答えに私が頭を悩ませていると、夜鳥くんが誰かに声を掛けた。
 そうして、その呼びかけに応じて現れたのは――。


「みんな……」


 喫茶店をボイコットした筈の女子達だった。
 彼女達は気まずそうしながらも、へたり込む私の元へと歩いて来る。