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「まふゆちゃん、この後はどうしようか?」
「うーん……。ステージの様子も確認しておきたいし、一度戻ろっかなぁ」
クレープを食べ終えて、これでうちのクラスを除いた一通りの巡回は出来た。
時計を見ればまだ午後のステージまで余裕はあるが、念のため早めに待機した方がいいだろうか――。
「うあっ!?」
なんて思案している最中、いきなり右腕を掴まれ、変な声が出てしまう。
「だっ、誰!?」
慌てて振り返れば、目の前に飛び込んで来たのは、見慣れた白銀の髪に金の瞳。
それに私は大きく目を見開く。
「やっと見つけた。ついて来て」
「え? 九条くん!? ちょっ、何……っ!?」
いつになく強引な様子に思わず顔を顰めるが、すぐに私の腕を掴む手が尋常じゃなく熱いことに気づく。
「不知火さん、ごめん。雪守さんを借りてくね」
「は、はいぃっ!!」
「ご、ごめんね。朱音ちゃん!」
九条くんに声を掛けられ、またもや顔を真っ赤にしてカクカクと首振り人形状態になってしまった朱音ちゃんに謝り、私は九条くんに腕を引っ張られるまま保健室へと向かった。
「はぁ……」
「ねぇ大丈夫? なんだか最近、体調が悪くなるペースが早まってない?」
保健室に着くなり妖力を使い、九条くんが落ち着くのを見計らってから問いかけた。
だって絶対におかしい。
契約関係になった当初は朝に1回妖力を使えば一日元気そうだった。なのにあれから一月経った今は一日2回、多い日は3回妖力を使うこともある。
考えられるのは私の妖力が弱まっているか、もしくは私の妖力が効きづらくなっているかだろうか?
「……そんな不安そうな顔しないでよ。君の妖力の強さは変わっていないし、俺に効きづらくなっているなんてこともないから」
「じゃあなんだっていうのっ!?」
思わず責めるように叫んでしまい、唇を噛む。
別にこうなっているのは九条くんのせいじゃないのに、怒鳴ってどうするんだ私。
「ごめん。君が疑問に思うのは当然だけど、それを言うことは出来ない。契約を交わしておいて不誠実だとは思うけど、言えないんだ」
「…………」
分からないじゃなく、言えない。
つまり九条くんはこの病の原因が何か分かっているということだ。
