雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「お見事ー! 初の完全脱出者誕生でーすっ!! 景品をどうぞっ!!」


 カランカラーン! とベルが鳴らされ、周囲にいた人達が一斉にわっと沸く。その拍手の中心に立つ朱音ちゃんが、興奮で頬をバラ色に染めながら私を揺すった。


「すごいっ! すごいよ、まふゆちゃんっ! うちのクラスの人達、絶対誰も脱出させないように超難問にしたって言っていたのに!!」

「えへへ、そりゃ朱音ちゃんの前で無様な姿は見せられないからね」


 ――あれからあちこちの模擬店のトラブルを対処しつつ、並行して食べ歩きをしていた私達。
 途中、朱音ちゃんを狙った男共がやたらと声を掛けてきたが、もちろん全て撃退した。

 そうしてお腹もいっぱいになってきた頃、腹ごなしに体を動かすような模擬店でも覗いてみようかという話になって……、


『だったらうちのクラスの模擬店はどうかな? 脱出ゲームをやってるんだけど、よかったらまふゆちゃんも遊んでみない?』

『もちろんっ!!』


 朱音ちゃんの誘いは絶対に断らない私は、その言葉にホイホイと朱音ちゃんのクラスへ向かったのだった。
 そして見事に初の完全脱出者の栄光を手にした私。朱音ちゃんに褒められたい一心で、通常の100倍は潜在能力を発揮出来た気がする。今なら世界も救えそうだ。


「景品はすごく豪華なんだよー」

「へぇー、どれどれ?」


 アホなことを考えていると、先ほど渡された景品――何故か骨の柄の入った高級そうな白い封筒の中身を確認するよう、朱音ちゃんに急かされる。それに従いガサガサと封を開け、中身を引っ張り出した。


「ん……?」


 すると中には、〝後夜祭特別舞踏会の(いざな)い〟そんな風に書かれたカードが入っている。


「後夜祭……? しかも舞踏会って……」

「うちの高校って文化祭は盛り上がるけど、後夜祭は有志が集まるくらいで大々的にはやってなかったでしょ? 

「ああ、うん」


 確かに今年も生徒会では特に後夜祭の予定はない。


「だけどそれじゃつまんないからって、今年は演劇部を中心にダンスパーティーをやるの! それでそのカードを持っている人には、特別に演劇部がドレスアップしてくれるんだよ!」

「ふぅん」


 なるほど。後夜祭の話は初耳だが、確かに面白そうな試みだ。

 しかし待ってほしい。


「ドレスアップするなら私じゃなくて、絶対朱音ちゃんの方がいいよ!」


 そう言って朱音ちゃんにカードを渡そうとしたのだが……。


「ダメっ! まふゆちゃんが全部謎解きしたんだから、まふゆちゃんが受け取って!!」

「えー……」


 珍しく強めに言われてしまい、結局私は渋々カードを自分の制服のポケットに仕舞うほかなかった。

 ちぇ、朱音ちゃんのドレス姿見たかったのになぁ……。