雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「いいですよ、別に。あ、じゃあせっかくなんで、着ぐるみ(この子達)と一緒に撮ってもらってもいいですか?」

「え」

「もちろんです! わぁ、ありがとうございます! じゃあはい、チーズ!」

「ほら九条くんも」

「え、え」


 ――パシャリ

 戸惑う俺をよそに、軽快なシャッター音が響く。


「これ、その場で現像出来るタイプのカメラなんで、お礼に一枚どうぞ」

「わっ、ありがとうございます!」


 女から写真を受け取り、上機嫌なまふゆ。手を振ってなんと別れの挨拶(あいさつ)までしている。


「九条くん、見て見て! すっごくよく撮れてるよ!」

「……」


 そう言って差し出された写真を見ると、確かに着ぐるみに囲まれて嬉しそうに笑うまふゆの姿がよく撮れていた。その彼女の隣に俺が写っているのも、まぁ悪くない。
 明らかに怪しい人物に対して警戒心ゼロなのは心配になるが、それが彼女のいい所であるのは、もうよく分かっている。


「……全く、まふゆはすごいな」

「え? 何それ?」


 意味が分からないとキョトンとするが、「乗り物に乗ろうか」と言うと、すぐさまワクワクとした表情で頷いた。
 そのくるくる変わる表情があまりにも可愛くて、つい口から笑い声が漏れてしまう。


「乗ろう、乗ろう! いっぱい乗ろう!」

「何乗りたい?」

「うーんと、あっ! あれ!」


 まふゆが指差したのは、滝から急転落下する乗り物。乗り物が滝つぼに落ちる度に、激しい水飛沫と共に、「ギャー!」という断末魔のような悲鳴が聞こえてくる。


「すごいな、まふゆ」


 先ほどとは違った意味合いで呟くと、まふゆはもじもじと恥ずかしそうにして言った。


「えっと、せっかくだし普段経験しないようなものに乗ってみたいなぁ……。なんて思って」

「そうだな、俺もそう思う。よし、じゃああれに乗ってみようか」

「ほんと!?」


 俺の言葉に少し自信なさげにしていたまふゆの表情が、息を吹き返したように明るく輝いたものになる。
 そんな可愛い彼女の手を取れば、嬉しそうに握り返され、俺達は悲鳴がこだまする乗り物目指して歩き出した。