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「わぁーーっ! 可愛いーーっ! モフモフだぁーーっ!!」
チケットを受付に渡して園内に入場するなり、まふゆは一目散に駆け出した。目当てはもちろん、来場客を出迎えていたクマとウサギの着ぐるみだ。
そしてそのまま抱き着くのかと思いきや、控え目に着ぐるみの体を撫でて、幸せそうに頬を緩めている。
「九条くんもおいでよー! モッフモフだよー!」
着ぐるみには興味は無いが、まふゆの弾けんばかりの笑顔に引き寄せられるように近づくと、俺の手を取ったまふゆが着ぐるみの体へと触れさせた。
「ねっ? ふわふわで気持ちいでしょー?」
「あ、ああ……」
正直人工的な着ぐるみの毛並みより、まふゆの少しひんやりとした柔らかな手の方がよほど気持ちいい。
……なんて。言ったら引かれそうだから、絶対に口にしないが。
「モフモフふわふわ。幸せー」
当のまふゆは着ぐるみに夢中で、俺の心境など気にもしていないようだ。
そのまま彼女の気の済むまで撫でさせてあげよう。
「あの、すみませーん……」
「!」
するとその時、カメラを持った見た目20代くらいの女性が一人、俺達に声を掛けてきた。
それにまふゆが慌てたように着ぐるみから離れる。
「あっ、すみません! すっかりこの子達独占しちゃってました! もう十分堪能したんで、お次どうぞ!」
「えっ。いえいえ、違うんです! そうじゃなくて、その……。図々しいお願いなんですが、お二人のことを撮らせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「え?」
てっきり着ぐるみと撮りたいのかと思ったら、俺とまふゆを撮りたいらしい。何故?
「お二人を見て、素敵なカップルだなーと思いまして……」
「…………」
怪しい。
いくら良く見えたとしても、わざわざ他人の写真なんて撮りたいものだろうか? まさかこの女、まふゆが皇族だと知る新聞記者だろうか?
であれば、写真を撮らせるのはよくない。
しかし下手に断って隠し撮りでもされたら?
警戒しながら、俺がどう答えるべきか悩んでいると……。
