雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 元々不審な私の挙動がますますおかしくなり、朱音ちゃんが不思議そうに首をこてんと傾げた。なんだその仕草、可愛過ぎかっ! 
 はぁ……。このままでは変態的な言葉を発してしまいそうだ。慌てて深呼吸して、話題を切り替える。


「そ、そうだ! 朱音ちゃんはクラスの方の手伝いは大丈夫? 時間あるなら、その……私と一緒に模擬店巡りしない?」


 なんだか誘うのって、緊張するなぁ。告白なんてしたことないが、もしかしてこんな気持ちなんだろうか?
 ドキドキと返答を待っていると、朱音ちゃんが両手を顔の前で合わせてパッと表情を輝かせた。


「えっ、いいの!? わたしの方は店番までまだ時間があるから大丈夫だけど、まふゆちゃんは忙しいんじゃ……?」

「全然大丈夫!! どうせこの後も学校内の見回りするつもりだったし、折角の文化祭だもん。仕事だけじゃつまんないしね!」

「ふふ、そっかぁ! じゃあそういうことなら目一杯楽しんじゃおっか!!」


 お互い笑い合い、そうと決まれば時間が惜しいと立ち上がる。


「ねぇねぇ、まふゆちゃん」

「え?」


 くいくいと私の制服の裾を引き、朱音ちゃんがこちらを恥ずかしそうに見た。
 私は女子としては身長高めなので、自然と朱音ちゃんに上目遣いで見上げられる格好になる。


「実はわたし、友達と文化祭を回るの初めてなんだ」


〝だからまふゆちゃんと回れるの、すごく嬉しい〟

 そんないじらしい言葉と共にふんわりと微笑まれて、またもや私のハートはずきゅんと撃ち抜かれた。


「……っ、朱音ちゃん!! 私も実はそうだよ! 去年はクラスの模擬店を仕切ってたら、いつの間にか日が暮れてたし!!」

「ふふ、そっかぁ! じゃあお互い初めてなんだね」


 初めて会った時からなんとなく思っていたが、私と朱音ちゃんはどことなく似ている(・・・・)と思う。
 顔とか見た目の話じゃなく、感性とか考え方みたいな内面の部分が。

 ていうか今の聞いた!? 友達……! 私、朱音ちゃんに友達って言われた……!! 


「? どうしたの?」

「な、なんでもないっ!!」


 感動のあまり何度も頭の中で反芻(はんすう)していたら、朱音ちゃんが私の顔を覗き込んできたので、恥ずかしくなって慌てて首を横に振る。


「早く行こう」

「うん」


 そして私達は仲良く歩き出す。

 お互いに初めての、〝友達と一緒の模擬店巡り〟が始まったのである。