よそよそしく私の前を通り過ぎようとする生徒達。こういうことが、私が皇帝の娘だと知れ渡ってからは増えた。
当たり前だが、私が皇帝陛下の娘だったこと。雪女の半妖だったこと。その事実は大なり小なり、色んな人達に衝撃を与えたのだと思う。
中には反応に困り、戸惑う人が居るのも当然のこと。実際私自身だって、未だ戸惑う気持ちが完全には抜け切れていない。
――そう、だからこそ思うのだ。
当の自分ですら受け止め切れていないのに、私の大切な人達はみんな受け入れてくれた。
それはなんて幸せなことなんだろうって。
「おはようございます!」
目は逸らされてしまったが、負けじと挨拶すると、気まずそうに会釈された。
それを見て、いつか普通に挨拶出来る日が来るといいなと思う。
――ぽすん。
「!?」
と、そこで私の肩に何かがぶつかったので、慌ててその方向へ首を向ける。
すると〝何か〟の正体は九条くんの頭で、今まで普通にあいさつ運動していたはずの彼は、何故か私の肩にもたれかけていた。
堪らず私は真っ赤になって叫ぶ。
「く、くくく九条くんっ!!?」
「俺も朝早かったから眠い。まふゆ、後は頼んだ」
「ちょお!? ちょっ、ちょっとぉ!?」
「くー……」
「いや、本当に寝てるしっ!!」
立ったまま寝るとかどんだけ器用なの!?
あわあわとしていると、それを見ていた木綿先生が笑った。
「意外です。九条くんのこんな姿、初めて見ました」
「オレも。九条様でもこんなだらけるんだな」
「いつもはボク達を叱る側なのにね」
そう言うみんなに私は苦笑する。
――実は〝目まぐるしく変わった状況〟の中には、九条くんも含まれているのだ。
