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「おはようございます!」
「おはようございまーす!」
わいわいと多くの人が行き交う日ノ本高校校門前。
そこで私は声を張り上げて、校舎へと向かって歩いて行く生徒一人ひとりに声を掛けていく。
もうすっかり季節は冬に近づいて、朝は随分と冷え込んできている。妖力は失っても雪女の本能か、高まる冬への期待に、私はいつも以上に元気だった。
しかし大抵の生き物は逆。夏はしゃいで冬はひっそりと。
ご多分に漏れず、それは彼らも同じらしくて……。
「――なぁ、あいさつ運動ってマジで必要? つーかこれ生徒会の仕事かよ?」
「確かに。ていうか、ちょー寒いし、眠い」
ふぁと欠伸をする雨美くんと、生徒が通り過ぎてもボーっとしている夜鳥くん。
普段より一層だるだるモードの貴族コンビに、こちらは相変わらずテンションの高い木綿先生が叫ぶ。
「こら二人とも、何を言うのですかっ!! 一日は挨拶で始まり、挨拶で終わるのです!! きちんとした生活リズムを整えることを促す為にも、あいさつ運動は生徒会として大切なお仕事なんですよっ!!!」
「木綿は朝から元気つーか、うるせぇよなぁ。さみーのに、ここだけ暑苦しいし」
「こんなんで実は皇宮護衛官でしたーなんて、詐欺だよね。ボク雪守ちゃんのことより、そっちの方が驚いたよ。あり得なさ過ぎて」
「分かる。オレも雪守が皇女なのはすぐ納得したけど、木綿は未だに納得いかねぇ」
「な、なんでですか!? ボクだって教師と護衛官の二足のわらじで、こんなに頑張ってるのにぃ~!!!」
「あはは……」
多分そういうところが〝らしくない〟からだと思うけど、言うとまた泣いちゃいそうだから黙っていよう。
……そう考えた時だった。
「あっ!」
見知った人物達が登校してきて、私は声を上げる。
